痛み止めとして有名なロキソニンについて、効果が発現するまでの時間と、効果が持続する時間を考察してみたいと思います。
ロキソニンについてまずは「くすりのしおり」を確認
まずは患者さん向けの薬の説明書である「くすりのしおり」を確認しましょう。
くすりのしおりにはその薬を使用するうえで基本的な内容が、患者さん向けのわかりやすい言葉で解説されています。
しかし、残念ながら効果時間についてはくすりのしおりには記載されていません(ロキソニン錠60mg くすりのしおり)。
効果の発現時間や持続時間までくすりのしおりには書かれていないのが一般的です。
ロキソニンの効果発現時間について
では、続いて医療従事者向けの資料で確認すると、製薬会社が作成しているインタビューフォームという資料に効果発現時間の参考となるデータが記載されています。
この内容では、手術後もしくは外傷後の痛みに対して、15分以内に20%、30分以内に54%の人に効果が現れたとしています。また、抜歯後の痛みに対しては、1回2錠で使用して、15分以内に52%、30分以内に84%の人に効果が現れたとしています(ロキソニン錠60mg インタビューフォーム)。
手術後・外傷後疼痛に対するロキソニン(180mg/日、3 日間)の鎮痛効果は、15 分以内に 20%、30 分以内には 54%の症例に認められた。
また、抜歯後疼痛に対するロキソニン(120mg 頓用)の鎮痛効果は、15 分以内に 52%、30 分以内には 84%の症例にみられ、速効性にすぐれている。ロキソニン錠60mg インタビューフォーム VII. 薬物動態に関する項目
これらの点から考察すると、痛みに対しては、速ければ15〜30分以内に効果が現れることが想定されます。
ロキソニンの持続時間について
ロキソニンの持続時間については、比較的よく見る引用が以下の内容です。
抜歯、小手術後の疼痛発症患者の効果持続時間は、平均7.0時間と報告されています1)。
口腔外科小手術患者の術後疼痛ではロキソニンを服用後、5-6時間後に疼痛が再燃したものが最も多かったと報告されています2)。
1)清水正嗣 ほか:歯科ジャーナル 1994;39(6) :893-903
2)藤本明秀 ほか:日本口腔外科学会雑誌 1989;35(2): 524 -529
以前は製薬会社のFAQに記載があった内容ですが、現在は記載がなくなっている様です。
上記の内容からは、長ければ7時間程度、状況によっては5〜6時間程度で痛みが再燃ということですが、個人的にはもう少し効き目は短い印象です。何れにしても半日とかは効果は持続しない、比較的持続時間は短い薬と理解しておきましょう。
ロキソニンの効果時間の実際について
実際に私が使用した経験や、薬剤師として患者さんの話を聞いている印象ですが、ロキソニンは他の痛み止めに比較して、速く効いて、効果も速くなくなってしまう(持続が短い)、という印象の薬です。
市販薬のロキソニンSについても、CMで速く効くというところをセールスポイントにしている感じがありますが、そのイメージ通りの薬だと思います。
ロキソニンを連続して使うときは6時間程度の間隔を
最後に、ロキソニンを連続して使うときの間隔についても確認していきます。
ロキソニンを頓服(症状があるときだけ使う方法)にて連続して使うときは、最低4〜6時間は間隔を空ける様にしましょう。
一般的に解熱鎮痛剤を頓服で使用するときはこのくらいの時間間隔が安全とされています。
例として、大阪府病院薬剤師会のサイトを挙げると、鎮痛剤は「3〜4時間間隔をあけてください」となっています(大阪府病院薬剤師会 おくすりQ&A)。
また、市販薬のロキソニンSの添付文書では「服用間隔は4時間以上おいて下さい。」とされています(ロキソニンS 添付文書)。
これらの点から、ロキソニンの間隔は最低4時間、安全を重視すればできれば6時間間隔を空けるのが良いでしょう。
コメント