カロナールの授乳中の使用について確認していきます。カロナールの成分であるアセトアミノフェンを含む他の薬剤、コカール、アセトアミノフェン錠などでも同様の内容となります。
カロナールは授乳中でも使用できる薬
カロナール(アセトアミノフェン)は授乳中でも安全に使用できる薬の一つです。
カロナールの説明書にあたる添付文書においても、授乳中に関する使用については、特別な注意喚起はありません(カロナール錠 添付文書)。
実際の医療現場でも、授乳婦さんが風邪をひいたり、インフルエンザになった場合などでよく使われる解熱鎮痛剤です。
製薬会社が出している資料のインタビューフォームにおいては、カロナールの乳汁への移行性について記載されており、母親がカロナールの成分を使用後の1〜2時間後に母乳の濃度が最高になるとされていますが、10~15μg/mLというごく少量の結果となっています。
その母乳を飲んだ乳児の尿中には、カロナールの成分および代謝物も検出されなかったことが併せて確認されており(カロナール インタビューフォーム)、カロナールを使用した母親の母乳を乳児が摂取しても大きな問題がないことが窺えます。
なお、カロナール自体が乳児においてもよく使用される薬剤であるため、その点からも、授乳中でも安全に使用できる薬であることが理解できるかと思います。
カロナールの授乳中の安全性に関する情報
カロナールの授乳中の安全性に関わる情報は、製薬会社以外からの情報でも多くあります。
国立成育医療研究センターの情報
小児科の中でも最先端の医療を提供している病院の一つである、国立成育医療研究センターのwebサイトにおいても、カロナールは「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」として挙げられています(国立成育医療研究センター 授乳中に安全に使用できると考えられる薬)。
こちらのwebサイトは医療従事者の中でも最も活用されている情報のひとつであり、十分な信頼性があります。
母乳とくすりハンドブックの情報
大分県地域保健協議会大分県「母乳と薬剤」研究会が編集、大分県薬剤師会が販売している「母乳とくすりハンドブック」も現場の医療従事者が参考にしている情報の一つです(母乳とくすりハンドブック)。
その中で、カロナール(アセトアミノフェン)の評価は「◎」であり、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤/母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさないと考えられる」とされています。
カロナールに対する個別のコメントとしても「母乳中への移行は極少量で、母乳育児に適している。」とされており、授乳中でも向いている薬の一つとして評価されています。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きの情報
愛知県薬剤師会の妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班が発行している『「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き』も、専門家が発行している情報であるため、比較的信頼性の高い情報のひとつです(「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き)。
こちらも授乳中の使用に関して、安全という評価をしており、「授乳婦に使用可能と考えられる。」とコメントしています。
授乳中であることは必ず医師・薬剤師に伝える
前述の通り、カロナール(アセトアミノフェン)は授乳中でも安心して使える薬の一つですが、それでも自己判断で使用することはおすすめできません。
患者さん向けのくすりの説明書である、「くすりのしおり」においても、「次のような方は使う前に必ず担当の医師と薬剤師に伝えてください。」という項目にて、「妊娠または授乳中」のケースは注意喚起されています(カロナール錠200 くすりのしおり)。
必ず医師や薬剤師に授乳中であることを伝えた上で、処方されたカロナールを使用するようにしましょう。
コカールや他のアセトアミノフェン製剤でも同様
今回の情報は、コカールや他のアセトアミノフェン製剤でも同様の内容となるため、これらの薬剤でも参考にしていただけます。
主なアセトアミノフェン製剤(飲み薬)の一覧
カロナール錠200 |
カロナール錠300 |
カロナール錠500 |
カロナール原末 |
カロナール細粒20% |
カロナール細粒50% |
カロナールシロップ2% |
コカール錠200mg |
コカール小児用ドライシロップ20% |
コカールドライシロップ40% |
アセトアミノフェン錠<各種メーカー> |
アセトアミノフェン原末<各種メーカー> |
ピレチノール |
アセトアミノフェン細粒<各種メーカー> |
アセトアミノフェンDS小児用<各種メーカー> |
アセトアミノフェンシロップ小児用2%「トーワ」 |
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