解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンを含むカロナールについて、妊婦・妊娠中の使用に関してまとめていきます。
情報源は信頼性の高いところから確認するようにしました。
カロナールの妊娠中の使用|妊娠後期は特に慎重に
カロナールの妊娠中の使用は、禁止はされていません。
したがって、医師の判断により妊娠中でもカロナールが使用されるケースがあります。
実際に製薬会社が作成している、薬の説明書に当たる添付文書では、禁忌(薬を使用できない)事項として、妊娠中・妊婦への使用は記載されていません。
ただし、「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の注意事項として、妊娠中の使用は安全性が確立されていない旨、そして、妊娠後期(8ヶ月・28週〜)の使用では、胎児の動脈に影響が及ぶ可能性が注意点として挙げられています。
(1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
(2)妊娠後期の婦人への投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
(3)妊娠後期のラットに投与した実験で,弱い胎仔の動脈管収縮が報告されている
カロナールの患者さん向けの資料である「くすりのしおり」においても「次のような方は使う前に必ず担当の医師と薬剤師に伝えてください。」の項目に、「妊娠または授乳中」が挙げられており、必ず事前に医師や薬剤師に相談しておく必要があります(カロナール錠200 くすりのしおり)。
このようにカロナールの妊娠中の使用は禁止はされていないものの、注意が必要となる薬です。そして、実際に使用するかどうかは医師の判断となるため、妊婦さんは必ず妊娠中の旨を処方医に伝える必要があります。
カロナールの妊娠中の使用に関する安全性の情報
カロナールの妊娠中の使用に関して、製薬会社の情報以外で信頼性の高い情報を確認していきます。
株式会社じほう書籍「実践 妊娠と薬」の情報
妊娠中の薬の使用に関して、現場の医療従事者も参考としてる書籍で最も有名なもののひとつが、株式会社じほうが発行している「実践 妊娠と薬」です(株式会社じほう ホームページ)。
この書籍では、妊婦服薬カウンセリングを実施ている虎の門病院の「妊娠と薬相談外来」での相談実績などの結果をまとめており、非常に信頼性が高い情報源として活用されています。
こちらの書籍において、カロナールの成分である「アセトアミノフェン」は、薬剤危険度(0〜5点)が「1点」、情報量(±〜+++)が「+++」とされており、情報量は多く、危険度は高くない(下から2番目)という評価です。
また、相談事例の結果からは、「本剤暴露群の児の出産結果は国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない。」という内容になっています。
これらの内容は、カロナールの妊娠中の使用について、比較的安全性が高いという評価であると解釈できます。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きの情報
愛知県薬剤師会の妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班が発行している『「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き』も、専門家が発行している情報であるため、比較的信頼性の高い情報のひとつです(「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き)。
こちらの情報では、カロナールの成分であるアセトアミノフェンについて、「アセトアミノフェンは、胎盤を通過するが、通常量の短期使用では安全であることが知られている。長期大量服用では、母体の肝障害・腎障害、新生児の腎障害の報告がある。」とコメントしています。
このコメントについては、通常量の短期使用できあれば比較的安全という評価と解釈できます。
妊娠中の使用は自己判断せず、必ず医師の指示通りに
前述のとおり、カロナールは妊娠中でも比較的安全性が高いと評価されている薬剤です。
しかし、製薬会社からの資料においては、特に妊娠後期(8ヶ月・28週〜)の使用において、動脈管収縮などのリスクが注意喚起されている薬剤でもあります。
基本的に妊娠中であることを知っている医師の処方であれば、その通りに使用しても問題ないと考えられる薬剤ですが、自己判断で妊娠中にカロナールを使用するのは危険が伴います。
妊娠中である場合は、必ず医師や薬剤師にその旨を伝えるようにし、医師から指示された正しい使い方で使用するようにしましょう。
コカールや各種アセトアミノフェンも同様の注意を
今回は、カロナールの話を中心としていますが、同じ成分を含むコカールや各種メーカーの「アセトアミノフェン」においても同様の注意が必要となります。
コカールやアセトアミノフェンの薬に関してもカロナールと同様、医師に妊娠中であることを伝え、医師の指示通りに薬を使用するようにしましょう。
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